【トロッコ問題】哲学・倫理学を考える①
倫理学の命題で、最も有名なものといえばーーー
【トロッコ問題】をあげる人が多いと思います。
トロッコ問題の概要はこちら
①暴走機関車が、今まさに線路上の作業員5人を轢き飛ばそうとしている。
②あなたはたまたま、線路の切り替えレバーの前に立っている。
③あなたがレバーを操作し、線路を切り替えれば、5人は助かりそう!!
④ただし、切り替えた先の線路には、1人、線路上で作業している人がいる。
⑤あなたがレバーを切り替えれば、5人は助かる代わりに、切り替えた先の線路にいる1人は死んでしまうでしょう。
⑥あなたはどうする?
倫理学や哲学的な諸問題を考えるにあたって、「なぜ自分がその結論に至ったのか」という自問が重要になります。
①レバーを切り替え、1人を殺し5人を助ける
②何もせず自然のままに身を任せる。
③あるいは一瞬でスーパーマンを呼び出して全員助けてもらう。
↑どの考え方も正しい正しくないを論ずることに価値は無く...
なぜその行動を取ろうと考えたのか?を突き詰めて行くことが肝要なのです。
トロッコ問題に絡めて論じられるのが、『功利主義』と『義務論』になります。
「功利主義論」を著したJ.S.ミル
ベンサムは功利主義の提唱者として、人間社会を構成するメンバーの利益(≒幸福)の総量を計算し、それを最大化せよという「最大多数の最大幸福」という考え方に至ります。
自然は人類を、苦痛と快楽というふたつの主権者のもとにおいた。われわれが何をするであろうかを決定するのは、苦痛と快楽だけである...(byベンサム
『人間の行動基準は快か不快かにある!!』
そしてこの原理は、証明は難しいけれども、誰しもが実質的には自覚しているはずだと主張しました。
本当にそうでしょうか?
私たち人間のすることは、ただひたすらに快楽に向かっていくことであって、それが唯一の行動原理だとすれば...。
それは、豚となんら変わらないじゃないか。
功利主義は、豚の論理か。
そういう批判を受けることになります。
J.Sミルは、その批判を受け...
「満足な豚よりも、不満足な人間であるほうがいい。満足なばかものよりも、不満足なソクラテスたれ。」
と弁明するわけです。
功利主義については、参考になる本・ブログ・サイトが多々ありますので、いくつかご紹介します。
要約≪功利主義≫ -雑感https://ty25148248.hatenablog.com/entry/2022/10/23/091709
最後に、次回に向けての問いを投げかけます。
デートの待ち合わせ。
時間ぴったりにきた彼女があなたに言います。
「ごめん、待った??」
20分前から待っていたあなたは、
「いや、全然待ってないよ!!今きたとこ」
と返答する...
「優しい嘘は道徳的に許されるか?」
次回、哲学カテゴリーではカントの道徳論を見ていきます。
また次回お会いしましょう!!